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庭で“鳥道”を究める

2013|02|17
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我が家の庭の、南天の小枝でポーズをとるメジロ君

庭に遊びに来る小鳥の歓心を得ようと、悶々とした介護の手慰みに、毎朝あれこれ餌を与え始めたところ、来るわ来るわ、メジロを筆頭にヒヨドリやツグミ、シジュウカラは言うに及ばず、名もしれぬ里山の珍客までもが大挙してやって来るようになった。

思えば、魚の名前に比べて鳥の名前は「な〜んも知らない!」ことに気付き、慌てて『野鳥 日本で見られる287種、その判別ポイント』なる本を探し求めてみたものの、いやはや鳥の世界も奥が深い。パラパラとページをめくると先日、近くの浜辺で見かけた鳥は、セグロセキレイとハクセキレイなんぞによく似ているが、セグロは「ハクセキレイに似るが顔が黒く、白い明瞭な眉班がある」、片や「セグロセキレイに似るが顔が白く過眼線が明瞭」などと識別ポイントが書かれているものの、神経質でせわしない動きの連中をまじまじと眺める機会も少なく、瞬時の判別は難しい。

小型のクロカジキと同サイズのマカジキの判別同様、その識別着眼点に目を凝らすしかないが、セグロは「海岸や河口近くでは見られない。またハクセキレイほど都市部には現れない」などという記述を見ると、生息環境による棲み分けもあるのかと、カジキの海水温の差による種の分布図にも思いを致したりするが、最初の印象で鳥を瞬時に識別できるようになるには時間が掛かりそうである

ヒッチコックの映画『鳥』を最初に見たのは、確か小学生の時であったが、ホラーとサスペンス、衝撃的なエンディングにおののいたものであるが、それに比べると、我が家にカップルでやって来るメジロ君たちは、実にノーテンキで楽しげである。人生、こうでなくっちゃいけない。

ちなみに映画『鳥』に主演したティッピー・ヘドレンの、知的なセクシーさには子供心にも漠然としたトキメキを感じるものであったが、去年であったか、82歳になったティッピーが、かつて映画『鳥』の撮影中に、ヒッチコックから再三に及ぶセクハラとパワハラ被害を受けていたことを告白したのには驚いた。ティッピーが監督の要求を拒むと嫌がらせをするようになり、さまざまな圧力をかけて映画女優としての道を断つことを画策したという。今にして思えば、あれだけの人気を得ながら、その後数年、映画出演がなかったことも合点がいく。

「ヒッチコック監督は私のキャリアを破滅に追い込みましたが、私の人生を破滅させたわけではありません」という彼女のコメントに、女の切ない意地と矜持を感じたものである。あのショッキングな告白以来、もう私が映画『鳥』をレンタルショップで借りることは無い。この先もきっと…。

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柚子のママレードを前に、「食べてええんやろか…」と考え込むメジロ君

3web.jpgその芳しい香りの誘惑に負け、大口を開けて「ええいっ!喰ってみよ!」4web.jpg
「なんや、めっちゃ旨いで!」と、この後、メジロ君たちはママレードの虜に

甘夏、はっさく等、柑橘類には目が無いメジロ君たちであるが、リンゴ、バナナ、熟した柿も大好物である。また写真のようにママレードやジャムもえらくお気に入りで、我が家に出入りするメジロ君たちはメタボ&糖尿の道をまっしぐらである。

これらの写真は、近所のMクンが、たまたま縁側に置いてあったカメラで手慰みに撮ったものだが、レンズとメジロ君の間に緊張感が感じられないのは、私が毎朝用意するお食事の賜物であろう。

庭で小鳥を愛でながら美味い酒をやる。その“鳥道”を極めるのもまた格別である。








posted by biggame at 20:53 | 日記