h2.gif

避けて通れない日々…

2016|01|27
このところ様々なメディアで「介護離職」などという言葉を目にするたびに、思わずドキリとさせられてしまう。結構シビアな現実の真っ只中にいるものとして、仕事と介護を両立させることのしんどさが骨身に染みてわかるからである。
母の終の日の予感が、日々のなにげないしぐさに見え隠れする中では、明るく楽しく笑って過ごすことを心掛けながらも、荒涼とした地で石を拾い集めるような寂寞感に襲われることもある。
“目が離せない”という状況は、独りで介護をする者にとっては自身の日常に投網を掛けられたようなもので、網の目の先には広大な自由があるはずなのに、ままならぬ日々に天を仰ぐことも多い。
昨年の9月9日、浜中せつおさんのアトリエにお邪魔した折、ひとしきり私の介護の日々に耳を傾けて頂いたことが記憶に新しい。
介護の現実は、話すことで僅かばかり気持ちが軽くなることもある。
この時、浜中さんご自身も、悪性リンパ腫で闘病生活を余儀なくされていた奥様(神奈川新聞で20年以上にわたって演劇時評を執筆されていた演劇ライターの山田ちよさん)の介護をされていたのであるが、老いさらばえた母を看る私と、まだ若く、才能溢れる奥様を看る浜中さんとでは、日々の時間の意味が大きく異なるように思えたものである。
昨年の11月22日、浜中さんの奥さんは、60歳という若さの只中でお亡くなりになった。
私が訪ねた翌々日の、9月11日発行の日本演劇協会会報に寄稿された『神奈川の演劇事情』が奥様の絶筆となったことを後に知った。
                  ※
私の母はこの1月に95歳となり、朦朧としながらも「あ〜、秋の夕暮。人生の哀歓、身に沁みるのう〜」というのが口癖になっている。真夏であろうが真冬であろうが、お袋にとっての季節は、秋の夕暮であるらしい。
若さの中で死を意識する日々と、老いの末期に寄り添う日々とでは、目にする季節の色合いも、随分と異なるように思える。
今、浜中さんは新たな気持ちでカンバスに向かっているだろう。
ここ数年、風待ち状態で、漂っているだけの自分に必要なのは、心に風を吹かすことかもしれない…。
web使用2.jpg
昨年の9月9日、アトリエでの浜中さん。窓の外は降りしきる雨であった。

web使用1.jpg
CHASE!浜中さんの世界が、今後どんな広がりを見せてくれるかと、期待は膨らむばかりだ





posted by biggame at 17:02 | 日記

ようやくスイッチ・オン!

2015|03|17
web_MG_9812.jpg

あれやこれやが多すぎて、恥ずかしながらウェブは随分と長い間、放置プレイの如き有様であった。
介護に追われる半年なんぞはアッという間である。
秋が過ぎ、冬の木枯らしに身を震わせ、師走の中で憂鬱な冬至を迎えたのも、はや昔日。大寒、立春、啓蟄を走り抜け、すぐそこに春分の日を迎えるところまで来てしまった。
人生なんぞはアッという間であることを実感する。
この間、国内でスポーツアングラーによるグランダーの記録でも達成されておれば、辛気臭い介護なんぞは打ちやって、その紹介に多くの時間を費やしていたかもしれないが…。
ま、この間、ビッグゲームのビッグニュースが無いことを幸いに惰眠を貪っていただけのことではある。
さて今夏、心震わすビッグニュースに出会えるだろうか?
そろそろ長く奉公に出している撮影機材の身請けに行かなければならないが、久方ぶりの御対面には照れてしまうものの、そろそろ戦闘モードにスイッチ・オンと行きたいところである。
posted by biggame at 21:04 | 日記

今季のカジキ・ベストショット

2014|09|27
B51R3306ウェブ使用.jpg
今季、カジキのベストショットは今月9月6日、塩釜ビルフィッシュトーナメント初日の10時18分に撮られたこのショットで決まりだ。
鈴木克宏カメラマン、久々のナイスショットだが、同氏の傑作は何といっても2010年の第32回JIBTでの空撮シーンだろう。スタンダップファイトでの“スピニングマーリン”。
ラインの先でジャンプするカジキと船上のチーム全員の緊張感を捉えた空撮シーンは見事なものであった。懐かしの名ショットは、近日発売の次号『BIGGAME』誌で。
posted by biggame at 09:43 | 日記

人生、一瞬の夏に似て…

2014|08|29
IMG_6721web.jpg

延び延びになっていた串本の花火大会が、ようやく開催された。
昨年は外に椅子を持ち出し、遠くに上がる花火に、子供のような歓声を上げた母であったが、今年はその元気もなかった。
ぶらりとやってきた近所の新米教師と久しぶりに食事を共にし、その後、ウツラウツラしている母を家に残し、野郎二人で花火見物に出かけた。
いくつになっても花火は楽しいものである…。

鮮やかな色彩の乱舞と、光に遅れてやってくるズシリと響き渡る音は刹那。
刹那の連続は一瞬、永遠に思えるが、やはりそれも刹那。
あとは脳裏に焼き付いた記憶がその刹那を反芻するばかりだが、今は去年の、椅子にちょこんと座って花火を見上げていた母のうしろ姿が、永遠の刹那のように蘇る。

今週末は大洗取材。
ショートステイに預けた母が深夜、徘徊転倒しないか気にかかる…。

posted by biggame at 00:53 | 日記

看取り休暇も、そろそろ…

2014|08|26
79.思えば長い道のりだったl.jpg
思えば長い道のりだった…

我が日本は、意外と窮屈な世界である。

男子である私もそう感じるこの頃、女性は尚更かもしれない。
産休を取るのも憚れることが多いような日常では、「介護休暇」や「看取り休暇」などという言葉自体も夢のまた夢かもしれない。
私は開き直ってこの2年間を半ば介護休暇のような気持ちでボ〜と過ごしているが、雑誌の発行が後手に回っている事だけが申し訳ない次第である。
おまけに、日々の介護ストレスを見習い大工仕事に逃避していたわけだが、“逃避の果ての結実”というものを最近とみに実感している。

家屋再生という作業は実に楽しいものである。おまけに日本古来の伝統工法は実際、実に素晴らしい!
ボロ納屋は目下、何とかここまで辿り着いたが、後は壁土を塗るばかりである。
しかしこの壁土が、なかなか一筋縄ではいかない。
淡路から運んだ練土に、近郊の古座川付近で調達した藁を8センチほどにカットし、それを練り合わせ半年ほど養生する。
ああ、それならこの2月頃から準備しておけばよかったと後悔しきりながら、行き当たりばったりの自己流作業では、そんな壁土の段取りなど思いもよらなかった。

もうカウント・ダウン間際のお袋との日々はこれまたこれで楽しいものである。

今週末、大洗の取材を終えて一気に次号の制作に入る予定だが、これは、しばらくご無沙汰していたオンナとのナニに似て、意外と気恥ずかしいものである。

80.土壁養生プール作成webjpg.jpg
壁土養生プール
81.最低3か月は要養生web.jpg
壁土と藁スサ
82.藁と練土を混ぜるwebl.jpg
それらを足でこねる
82-2.webjpg.jpg
結構しんどい作業だが、楽しい!
83.藁と土の養生所
web.jpg
熟成養生6か月!
77web.jpg
あと一息ながら…
posted by biggame at 20:38 | 日記

ぞろ目の奇跡!国内初の6ビルフィッシャー誕生!

2014|06|11
6月6日、《ウルフ》の大谷彰宏さんが、与那国で快挙を成し遂げた。
これまでクロカジキ、シロカジキ、マカジキ、バショウカジキ、フウライカジキと、国内で狙える6種のカジキのうち5種をキャッチされていた大谷さんにとって、残す最後の1種がメカジキであった。その念願の6番目の魚種を、6月6日に愛艇《ウルフ》でキャッチされたのである。この数字の並びに、なにやら“天使のささやき”を感じないでもないが、とにもかくにも国内で狙える全てのカジキ魚種をキャッチされた“最初のアングラー”として、大谷彰宏さんの名前は日本のビルフィッシング史に刻まれることになった。

2006日本記録 クロカジキ326kgweb.jpg
クロカジキ
大谷さんはクロカジキの大物狙いで有名だ。これまで与那国島沖で、この326sを筆頭に280s、278sの大物を記録している。現在、グランダー(1000sオーバー)に最も近いアングラーの一人であることは間違いない

2.jpg
メカジキ
これが今回キャッチした6番目の魚種、メカジキ

2-2.jpg
ベイビーサイズながら、紛うことなきメカジキの雄姿

3.jpg
フウライカジキ
狙って釣るのは難しいフウライカジキを、一昨年のJBTK(串本)で記録したことが今回の記録達成の大きな弾みとなった

4.jpg
バショウカジキ
これは2005年9月19日に与那国島沖で記録した41sのバショウカジキ

5.jpg
マカジキ
大物狙いの大谷さんにとってマカジキは少々物足りない存在だが、今年はBOL西日本の初物として4月26日に和歌山の椿沖でも記録している

6.jpg
シロカジキ
これは2010年4月30日に与那国島沖で記録した183sのシロカジキ


国内のフィールドに限定せずに語れば先達、高橋一郎さんが1990年に達成した“9ビルフィッシャー”の偉業があるが、これは国内外で狙える上記6種のカジキに、ベネズエラで記録したニシマカジキ、ニシクロカジキ、ニシバショウカジキを加えたものである。
高橋さんが“9ビルフィッシュ”の記録を申請した時点でのメカジキの記録はハワイで達成されたものであったが、その後、国内で“6ビルフィッシュ”を達成することを目標に、新たな活動を開始されたことは記憶に新しい。
6種のカジキで難易度の高いのはメカジキとフウライカジキであるが、国内のフウライは運を味方につけないことにはなかなか達成できるものではない。
結果、その手始めとして、国内6種のカジキのうち、難易度の高いメカジキのフィールド開拓とメソッド、ストラテジーの確立を目指して、高橋さんは狙い定めた与那国島沖での精進を開始された。それは確かな実績となり(本誌BIGGAME#029参照)現在、メカジキの日本記録では独壇場の活躍を見せている。

今回の大谷さんの記録も、高橋さんと《暁丸》の尾野文建船長が、与那国島で共に開拓してきた「ソードフィッシング」の延長にあるもので、まさに情熱の連鎖が生んだ“国内初の6ビルフィッシャー”の誕生に心からの祝福を贈りたいものである。

国内トーナメントも、今週末からの『サムズカップ』を皮切りに、その幕が切って落とされる。
長い冬眠から春眠に至り、なかなか暁を覚えなかったボンクラ頭が、ようやく覚醒してきた次第である…。

posted by biggame at 14:31 | 日記

人生ままならず…

2014|03|28
恥ずかしながら、久方ぶりでブログを覗いてみると、3か月以上も放置していたことに冷や汗の出る思いであった。
別に“放置プレイ”やらの趣味があるわけでもないのだが、どうも本質的に私はこまめではないのである。SNSで頻繁にやり取りをしている輩をみると、ただただ疲れるばかりで、自分はモニターを眺めるよりは庭先のメジロの鳴き声や姿を肴に一杯やっていたいほうである。
それもこれも余生幾ばかりかの、部分的に認知がかなり進んできたお袋との濃密な時間の中で、人生の、ある時間の過ごし方について、悔いのないようにという思いが強くなってきたからかもしれない。
あれやこれやにかまけて、本来ならば今年2号目の準備をしていなければならない時期であるが、いまだ原稿を上にしたり下にしたり、左にしたり右にしたりして、なかなか捗らない。
何度もお電話を頂戴した読者の方々には誠に申し訳ありませんが、次号がお手元に届くまであとしばらくお待ちくださいませ。
「そんな土方仕事にうつつを抜かしているから…!」という叱責に似た苦情も耳に聞こえてきそうだが、冬は隙間風に悩まされ、夏は強い西日に朦朧とした目下の手狭な仕事場から抜け出し、より良い編集作業に没頭するための涙の準備期間とご理解頂ければ幸いです。
そしてなによりも、ヨチヨチとした足取りでボロ納屋に顔をだし、朦朧とした頭で「いつできるんかいのう?」と訊ねるお袋の時間を優先させて頂きたいと、切に願うわけであります。

1.jpg

昨秋、そろそろまともな仕事場を造ろうと、リフォーム予定のボロ納屋の屋根裏を恐る恐る覗いてみると、砂状に劣化した葺き土が野地板から漏れ出し、梁に堆積した状態…。暗澹たる気分に打ちひしがれた

2.jpg

おまけに、かなりの雨漏り箇所が見つかり思わず絶句…。傷んだ瓦を葺き替える金などあるわけもなく、やけっぱちでズレた瓦を詰め上げてみると奇跡的に雨漏りが収まった!

3.jpg

汗と埃と金欠で涙まみれになりながら天井を落とし、傷んだ壁板や床を剥いで行く。スコットランド在住の某元パイロットが来日の折に手伝ってくれる手筈であったが、椎間板ヘルニアを発症し、役立たず…

4.jpg

柱も微妙に傾き、再生には大きな不安もあったが、梁を磨き渋墨を塗り、葦簀を張ってみると、なんとなくエエ雰囲気を醸し出してきたではないか…!

5.jpg

こうなると俄然、土方仕事にも熱が入る。付き合い始めたばかりの伏し目がちの女が、その顔を上げてみると絶世の美女であったことに気づいたようなものである。この時期、肝心の編集作業などそっちのけで私は女に、いや土方仕事にのめりこんでしまった…

6.jpg

地震に備え、気安めの筋交柱を入れ、大引、根太、床束を入れてみると、なにやら著名な数寄者が設計した和の趣が漂い始めた…

7.jpg

そしてこの時期、律儀に、いや縁先のママレードにつられて訪れるメジロちゃんの、その愛くるしい仕草に癒される…

8.jpg

そして今、やっとここまで辿り着いた。手前の通り土間にミラノ風の石畳か、淡路産の敷瓦でも入れれば絶世の美女になることは間違いないものの、そんな金などあるわけもなく、ふがいない自分にうなだれるばかりである…

posted by biggame at 12:01 | 日記

正真正銘のグランダーに覚醒する!

2013|12|12
web2.jpg

あれやこれやを考える濃密な介護の日々が続いている。
5ヶ月近く自社のウェブを開いていなかったが、束縛のツールでもあるFacebookやTwitterからも遠ざかっていた日々は、なにやら自身の野生が甦る日々でもあった。
朝は親父の墓参りから始まり、墓地に迫る山を越えて裏手の海まで歩き、自宅に戻ると1時間余りが経過する。それから新聞に目を通しながらお袋の食事の段取りをする日常は、これはこれでなかなか充実した日々ではある。
そんな中、昨日、与那国で丸掛け460sの、正真正銘のグランダーが釣れたという連絡があった。送られてきたその写真には丸々と太った、グランダー特有の体躯が写っていた。

1386754144261.jpg

このサイズのカジキを、国内でスポーツアングラーが記録する日は近いような気がする。
来季が楽しみでならない。
posted by biggame at 21:42 | 日記

今季の沖縄、注目に値する三つの記録

2013|07|24
今年で9回目を迎えた沖縄『サムズカップ』を制したのは、304sのブラックマーリン(シロカジキ)だった。
6月8日、YYY俱楽部トローリングチーム(アングラー:江口博)によって記録されたこのシロカジキは、端正な姿をしていた。

1web.jpg
6月8日、ブラックマーリン304s

そして7月4日、『第24回与那国国際カジキ釣り大会』の前日、杉山和由さんが記録したクロカジキも304sだった。
6月と7月に達成された300sオーバーのブラック&ブルー、このふたつの記録が共に304sであったという偶然に、なにやら不思議なトキメキを覚える。

2web.jpg
7月4日、ブルーマーリン304s


またこの間の6月30日には、《なつとX》が慶良間推で243sのクロカジキを記録したが(萩谷孝彦キャプテン、アングラー:黒澤直人)、このクロカジキは上顎が欠損しており、摂餌にも苦労したと思われるが、よくぞここまで成長したものである。

3web.jpg
6月30日、上顎欠損ブルー243s

《なつとX》は沖縄から戻った後、大洗南東沖で7月13日と21日に2週連続でフウライカジキをキャッチするという離れ業も演じている。スポーツアングラーが2週連続でフウライカジキをキャッチしたのは恐らく初めてのことだろう。BOLの釣果報告も19本となり、《なつとX》は目下、トップを独走中だ。
次号『BIGGAME』の編集作業が楽しみである。




posted by biggame at 23:43 | 日記

497.8s!与那国、今季初のグランダー

2013|05|29
web1.jpg
オッ!一見、アングラーのようなポーズで写真に収まっているのは、本誌でもお馴染みの大谷さんではないか!?いいタイミングで与那国におられたわけだが、ご本人の釣果は?(写真:中島勝治)

5月26日、本誌『BIGGAME』(#029)でもお馴染みの、《暁丸》の尾野文建船長が497.8s(1097ポンド)の見事なクロカジキをキャッチされた。
ロッド&リールによるスポーツアングリングではないものの、たった1人での、まさに漁師の本懐を見せてくれたわけである。
5月26日、その日のメカジキ漁を終えて、2本のルアーを流しながら港に向かっていた尾野船長が、久部良の灯台を間近に見ながら潮目に入ったのが午後6時半頃…。その数分後、メカジキ漁の帰路、ルアーを流し出してから1時間20分程で、このグランダーとの邂逅を果たしたわけである。
450メートルほど一気に持って行かれ、カジキは尾鰭を海面すれすれに出しながらの重心の低いジャンプを一度だけ見せてくれたが、その時はさほどの大きさとは思わなかったようだ。しかし45分ほどで舷側に寄せたカジキを見て、その大きさに背筋がこわばる感じがしたと言う。
午後7時過ぎに取り込み、10分で久部良港に入った。
カジキは、それまでの尾野船長の最大記録270sをはるかに凌ぐ497.8sであった。
電話で話した尾野船長は相変わらず謙虚で、何の気負いも無く、久部良の夕日を眺めながら微かな潮騒に耳をそばだてるような至福のひと時であった。

web2.jpg
写真のブレ加減がグランダーの大きさを更に増幅させてくれる。さすが中島さん!web3.jpg
このルアー、なんだか分かりますよね?
posted by biggame at 01:04 | 日記